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第4話
「双子の赤ちゃん!神様からの贈り物?」

1998年04月25日放映


駆逐艦カーターからの救難信号をキャッチしたジェイナス。ロディとバーツは偵察に出掛けるがカーターは大破しており人影はなかった。ロディ達は敵ステーションの内部でARVルザルガと遭遇し苦戦の末これを退けるが、その最中救命カプセルに入れられた双子の赤ちゃんを発見。ジェイナスに新しいメンバーが加わった。

「双子の赤ちゃん&ラピス篇」の柱となる双子の赤ちゃん登場のエピソードです。「13」第1クールではこのほかにホルテとルービン、そして双子の赤ちゃんの父親であるククト軍人ルルドが新しく登場しますが、双子の赤ちゃんを中心に交わる形式になっており、ラピスとルルドの本格的な登場を前に、物語の軸となる双子の赤ちゃんがジェイナスの一員として加わる形となります。

さて、今回の主役はマルロです。ここまでオリジナルシリーズの頃よりもキャラが立ったところを見せていたマルロですが、ついにオリジナルシリーズでも見られなかった主役の座が回ってきました。冒頭で頼りないところを見せてルチーナに嫌われてしまったマルロは、なんとか彼女にいいところを見せようと、ケンツにRVに乗せてもらうよう頼みに行きます。当然のように断られたマルロはネオファムのコクピットに潜り込み、そのまま眠りこんでしまいます(直接コクピットの中に入り込む描写はありませんが、ネオファムのリフトが上げっ放しになっているなど、この間のマルロの行動を推測させる演出は随所に見られます)。行方不明になったマルロをべそをかきながら探すルチーナ。彼女がブリッジ内をちょこちょこ走り回り、他のメンバーにマルロを見なかったか尋ねるシーンはなんとも微笑ましいものです(「今朝食堂で…」などとボケた回答をするジミーもユニーク)。
その頃ロディとバーツは地球軍からの救助信号を受信し、RVで偵察に出ていました。救助信号の発信源は先程まで戦闘が続いていたと思われる空域の真っ只中。救助信号を出していた駆逐艦「カーター」は敵ステーションに突き刺さった状態で大破しており、生存者はとてもいそうにない状況です。敵味方のRVの残骸をよけるのに必死のバイファムとネオファム。そんな中、操縦席のバーツの頭上からひょっこり現れるマルロ。いきさつはどうあれ、彼は念願のRVに搭乗することができました。ルチーナに得意げな表情を見せたところまではよかったものの、彼はスコットに注意されシュンとなってしまいます。
バイファムとネオファムはマルロを乗せたまま、大破したククトニアンのステーション(F95ステーション)の中に入ります。調査を続けるロディとバーツですが、その最中マルロが突然おしっこをしたいと訴えはじめます。生きているエアロックを探しあててネオファムを中に入れ、大慌てでマルロにおしっこをさせようとするバーツ。コミカルなバーツの表情ともあいまってなんとも味のあるシーンです。間一髪間に合いはしたものの、無重力下でおしっこをしたマルロは反動で通路の奥へ飛ばされていってしまいました。バーツはネオファムをそこに残し、あわてて後を追います。
その最中、右腕を失って漂流していたARVルザルガが突如息を吹き返し、バイファムを急襲します。船内でのバイファムvsルザルガの銃撃戦は<オリジナルシリーズの第17話、ガッシュ戦を彷彿とさせるものです。戦闘によって次々と隔壁に穴が開き、空気の流出が始まります。必死にバーツを呼ぶロディ。
バイファムとルザルガの戦闘が続く中、ようやくマルロに追いついたバーツですが、そこで破損した救命カプセルに乗せられた赤ちゃんを発見します。次々と隔壁に穴が空き空気が漏れ出す中、バーツはマルロと赤ちゃんを連れてネオファムに戻ろうとしますが、流出する空気に引っ張られて外に吸い出されそうになります。手にしたカゴからもう一人の赤ちゃんが吸い出されるのを見てバーツが「も、もう一匹ぃ〜!?」と叫ぶシーンは、シリアスとコミカルが同居した絶妙の演出です。絶体絶命のバーツ達でしたが、間一髪のところで救命カプセルが穴を塞いで事無きを得ます。
…ロディがようやくルザルガを仕留め、双子の赤ちゃんはバーツに連れられて無事ジェイナスにやってきました。赤ちゃんを興味深そうに覗き込むクレアやペンチ、「僕たち今日からお兄さんとお姉さんだよ」と嬉しそうに話すマルロとルチーナ、そして思わぬ事態に頭を抱えるスコット…。

こうして、ジェイナスに新しい仲間が加わりました。「13」の中核をなすキャラクターの登場により、13人の子供達の「子育て戦争」が始まります。

■「13」の中では出色のエピソードである、バーツ+マルロによる双子の赤ちゃん発見のエピソードです。「13」前半ではオリジナルシリーズのエピソードをモチーフとした場面が数多く登場しますが、この第4話はオリジナルシリーズ第17話の「閉鎖された空間でのRV同士の白兵戦」をバイファム×ルザルガという組み合わせで再現しつつ、戦闘と同時進行でバーツとマルロによる双子の赤ちゃん発見→救出というエピソードを組み合わせています。この辺の物語の構造はオリジナルシリーズのククト星篇で見られたパターンと酷似しています。
■無重力空間でバーツとマルロ(+双子の赤ちゃん)が室外に吸い出されまいと奮闘するシーンは、科学的には到底有り得ない描写です。しかし実際に有り得ないことであろうがどうであろうが、文句なしに楽しく、そして手に汗握る活気溢れるシーンであることには間違いありません。やたらとリアルか否かにこだわるのではなく、あくまで「いかにエピソードをそれらしく見せるか」にこだわったスタッフの方々には心から拍手を送りたいと思います。そう、その前向きなノリこそがオリジナルシリーズ最終回の紙飛行機の群舞を生み出したわけですから。
■この回バイファムとの1対1の戦闘を演じるルザルガは、オリジナルシリーズでおなじみの空間戦闘向けのARV。デザインそのものが白兵戦向けでないのは見た目にも明らかですが、それを逆手に取った密室内でのアクションシーンはさすがの一言。なお、オリジナルシリーズでは判然としませんでしたが、もともとルザルガの銃はビームガンとロケットランチャーの2つを兼ねた構造となっており、バイファムをビームガンで狙撃しながら同時に隔壁を破壊するためにロケット弾を発射するシーンは非常に迫力がありました。
■この回のサブタイトルの音楽は何故か次回予告と同じ音楽でした。意図的に変えたとはどうしても思えず、単なる選曲ミスではないかと思われます。
■戦闘で大破した地球軍カールビンソンタイプの駆逐艦の名称はなんと「カーター」。オリジナルシリーズの「レーガン」など、アメリカ大統領の名前からの引用ルールを守ったなかなかツボをついたネーミングです。劇中で活躍シーンが用意されていたレーガンと異なり、登場の時点で既にクラッシュしているところがなんとも意味深です。
■ロディがポッドでバイファムから離脱し、カーター号の破壊されたブリッジを偵察するシーンがあります。バイファム本体からロディがポッドで離脱する様子が描かれたのはオリジナルシリーズ第27話以来2回目のことです(劇中の時間軸ではこの第4話はタウト到着前の物語ですので、ロディがポッドでバイファムから離脱したのはこれが初めてということになります)。さらに今回は新設定のマニピュレーターを使い、ブリッジのコンピューターを有線操作するシーンもあります。このあたりのメカ描写の細かさはこの第4話のひとつの見どころとなっています。
■この第4話の中では双子の赤ちゃんがククトニアンであることは明らかにされませんでした。これについては次の第5話のポイントとなります。
■バーツの「スコットのやつ、声がひっくり返ってたぜ〜」というセリフに、「いつもひっくり返ってるがな!」と画面の前でツッコミを入れた視聴者は多いことでしょう。いや、別にいいんですけどね。
■オリジナルシリーズの名BGM「チェイサー」がこの回の戦闘シーンでも使われ、「13」に限って言うと第1〜4話のすべてに使用された形になってしまいました。個人的には好きな曲なので大歓迎なのですが、ちょっと使用頻度が高すぎる嫌いはあります。

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