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第3話
「敵か味方か?謎の女からのメッセージ!」

1998年04月18日放映


タウト星までの空域には味方が多数いると教えられた子供達は、レーダーで地球軍を探しながら航海を続ける。そのジェイナスに、難民保護組織ラピスのメンバーと名乗る謎の女性からの通信が入る。敵味方問わず保護すると呼びかける通信の主だったが、スコット達は危険だとして無視することを決める。しかしペンチは指定されたコードに密かにアクセス。だがアクセスを終えた直後、敵ARVが襲来した…。

オリジナルシリーズと「13」を繋ぐ位置付けであった第2話が無事終わり、この第3話からは「13」オリジナルのエピソードが登場します。この回は双子の赤ちゃんと並んで第1クールのキーとなる、ククトニアンの難民保護組織「ラピス」とジェイナスのファースト・コンタクトを描いた一篇です。オリジナルシリーズではローデン艦隊と離れた後タウト星までは2日程度の時間しか要さなかったわけですが、「13」という物語の設定に従い、この回ではタウト星まではまだまだ距離がある…という内容をベースに物語が進行します。

さて、この回の主役となるのはペンチです。前の第2話でローデンに「タウト星までの空域には地球軍が多数いる」と教えられた子供達はレーダーで地球軍を探しつつタウト星に向かって旅を続けていましたが、そこに突然「ラピス」と名乗る謎の組織からの通信が入ります。自分達を保護するという正体不明のメッセージ、および地球には存在しない「難民保護組織ラピス」という団体を巡り議論となる子供達。結局その謎のメッセージは無視することで話がまとまりましたが、その声の主に母の面影を見出したペンチは、両親の消息を知りたい一心で密かにアクセスを試みます。ブリッジでひとり回線をオンにし、ラピスに呼びかけるペンチ。この前後にみられる彼女の「思い立ったらまっしぐら」的な言動は、「13」というシリーズに一貫して描かれている「両親に会いたい」気持ちが濃く出たものだと言えます。オリジナルシリーズ第14話では彼女がククトニアンであるラレドに父親の影を見いだす様が描かれましたが、この回のペンチの心理状態はその時の彼女と非常に近いものがあります。

なんとかラピスとのコンタクトに成功したものの、スコット達がブリッジに戻ってきたことにより通信は中断され、アクセスは不完全な状態で終わってしまいます。その直後に飛来する敵ARV。自分の通信が敵を呼び寄せてしまったと思ったペンチは責任を感じて部屋にこもってしまいます。この辺りのペンチの行動はオリジナルシリーズ第18話、料理の人数セットを間違えたペンチがひとりで落ち込むシーンと非常に良く似た展開です。襲来したARVは初出動のトゥランファムやロディ達の活躍によって何とか撃退されるのですが、ペンチが通信した相手と敵ARVの襲来に相関関係があったのかどうかは明かされぬままとなります。

ラストシーン、なぐさめに来たフレッドにすがりついて泣くペンチ。いささか唐突な展開ではありますが、抑えていた感情をここで素直に出してしまうのがペンチというキャラクターの魅力でもあるのでしょう。それぞれが親に会いたいという気持ちを抱きつつ、子供達はタウト星に向かって旅を続けます。

…というわけで、この回は「双子の赤ちゃん&ラピス篇」の導入篇として描かれたわけですが、ひとつ難を挙げるとするならば、この回描かれたペンチの「ラピスに守ってもらいたい」という気持ち、そしてこのファーストコンタクトで培われたはずの彼女とラピスとの関係が、実際にホルテとルービンがジェイナスに合流した第7話以降にまったく見られなかったことは少々気になります。「13」第1クールにおいて双子の赤ちゃんの物語は主にシャロンの視点から描かれることになりますが、ことラピスに関してはペンチを中心にして物語を組み立てる方法もあったかもしれません。そういう意味でこの第3話が「双子の赤ちゃん&ラピス篇」においてあまり大きな意味をなさなかったことは少し残念ではあります。

■「13」の新設定である「難民保護組織ラピス」の存在がこの回初めて明らかになり、ジェイナスには計2度にわたって通信が入ります。最初のメッセージ、およびBパート冒頭で地球軍が耳にするメッセージはのちにジェイナスに乗船するホルテによるもの。そしてペンチからの呼びかけに応える形で返ってきたメッセージはルービンによるものです。
■この第3話、双子の赤ちゃんの父親であるククト軍人ルルドが一瞬だけ登場します。その登場シーンはどちらかというと悪役風であり、「(目標の現在位置を)何としても突き止めろ」と呟くその姿は非常にミステリアスです。彼は第7話から本格的にストーリーに絡んでくることになりますが、この時点ではククト軍であるということ以外に素性は明らかになっていません。唯一セリフの内容から、どうやらジェイナスに積み込まれたリフレイドストーンの捜索を任務としていることが分かる程度です。
■クレア達が当番の合間を縫ってパンツを作るシーンは言うまでもなくオリジナルシリーズ第22話のエピソードがモチーフ。単独エピソードとして描かれるのかと思っていたのですが、意外にあっさり終わってしまいました。ここでひと騒動あることを期待してしまったのは私だけでしょうか?
■冒頭でマキがRVシミュレーターで訓練するシーンが登場します。この「13」では子供達がなぜRVを動かすことができるかという説明は一切ないため、このシーンは非常に有効なものだったと思います。このシミュレーター自体はオリジナルシリーズベルウィック星篇で登場したものの廉価版といったところですが、CGを利用したその映像はなかなかのものでした。特に「13」ではARVウグの登場シーンが非常に限られているため、ウグの登場するこのCGシーンはオリジナルシリーズとの繋がりという意味でも効果的だったと言えます。
■第2話でローデン艦隊を急襲したARVブラグが再度登場します。この回では人型→飛行型への変形ギミックをあまり前面に出さず、その機動性を生かしてロディ達の射撃をくぐり抜け、ジェイナスを襲うシーンが描かれました。第2話同様はっきりと描かれていませんが、ルルドの指揮下にある部隊である事は明白です。また、地球軍とククト軍の戦闘のシーンでは、オリジナルシリーズでおなじみのARVドギルムも登場しました。
■この回のBGMで特筆すべきだったのは、冒頭のサブタイトルおよび中盤のアイキャッチの部分に本篇のBGMがかぶるという演出がなされたことです。サブタイトルに別のBGMが使われたことはオリジナルシリーズでも何度かありましたが、アイキャッチの部分にまでかぶったのは初めてのことです。ある意味斬新ではありますが、特に必要性があるかというとそうではなく、単に尺の都合でこうなっただけという印象は否めません。
■スコットがカチュアに「ラピス」という組織を知らないか尋ねるシーンで、オリジナルシリーズのBGM「悲しみ色」が使われます。さすがオリジナルシリーズと同じ選曲担当の茶畑氏だけあって、なかなかツボを押さえた選曲です。なお、このシーン自体は「カチュアはククトニアンなんだよ」ということを視聴者に認識させるためだけのシーンで、会話としてはナンセンスな内容なのですが、「13」という新しいシリーズの開始にあたって有効な演出であったと言えます。
■回想シーンでペンチの母親が一瞬だけ登場します(止め絵ですが)。13人の両親で画面に姿を表したのはクレアとバーツの両親だけであり、このシーンは少なからず意表を突いたものでした。余談ながらペンチの母親の職業は看護婦ですが、このシーンでは特にそれを示唆するような描写はありませんでした。

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