注:このページは「エイプリルフール企画」として2004年4月1日にwww.vm21.netにて公開されたものです。

第1回:源田利明プロデューサー

いよいよ始動した期待の新作「バイファム21(ツーワン)」。これまでのシリーズと繋がりを持たない完全オリジナルシリーズとして、21人と同世代のファンはもちろん、前シリーズの視聴者であったオールドファンの興味も尽きないところだ。今シリーズの仕掛け人と言える源田プロデューサーに、バイファム21の企画立ち上げから今後の構想を語ってもらった。

−まず、今回の「バイファム21」の企画の発端からお聞かせください
 昭和58年に銀河漂流バイファムが放映されてから、今年で丸21年になります。その間様々なテクノロジーが発達し、劇中で描かれたコンピューターによるオペレーティングや二足歩行ロボットも絵空事ではなくなりました。生活の中にネットワークが張り巡らされ、当時とはまるで異なる日常が我々を取り囲んでいます。そんな21世紀という時代にふさわしい、新たな視点でバイファムという物語を描いてみよう、というのが今回の新シリーズの趣旨です。

−主人公の子供達が総勢21人であることについては
 時代の変化につれ、現在の子供達の性格も多様化しています。それに応じてキャラクターを割り振っていった時、これまでの13人の子供達ではカバーできなかったことが、キャラクターが増えた最大の理由です。これまでの13人に加え、我々スタッフが「第二期メンバー」と呼んでいる8人の愛すべき新キャラクターがジェイナスに乗り込みます。とはいえ、最初の1クールは彼らがジェイナスに集まってくる様子を中心に描かれ、常に全員が画面に登場することはありません。わずか数名の登場人物を中心に、彼らが両親とはぐれたいきさつを過去を振り返りながら語るエピソードなども用意されています。

−かつての13人も、これまでと違った役割が用意されているようですが
 13人の性格はこれまでと大きく変わることはありません。ただし、新メンバーの加入に伴って、劇中での役割は多少変化します。ロディの弟であるフレッドが第1話の時点ではぐれてしまったり、バーツがベルウィック星で孤立した少年達のリーダーを務めている点がそうですね。ペンチの役割も、リリーという新キャラの加入によって大きく異なったものになるのですが、そこは新たなシリーズならではの解釈をお楽しみいただきたいと思います。

−ずばり、作品の見どころは
 今回の「バイファム21」では、両親探しの旅の途中に立ち寄る数々の惑星で、彼らがいかに困難に立ち向かうかが物語の大きな見どころとなります。戦闘シーンやメカアクションよりも、生と死の狭間でも常に前向きに行動する彼らのたくましい姿を、視聴者の皆さんに見てもらいたい。文明が機能しない未開の地で懸命に生きる道を模索する、言うなれば「サバイバル」がひとつのコンセプトです。作品の副題を一文字増やして「銀河漂流記」としたのもそのためです。また、21人のうちキャラクター設定が未発表の2人については、彼らの正体も含め、登場時には視聴者のみなさんが大いに驚かれることでしょう。楽しみに待っていてください。

−前回のシリーズではコンピューターの扱いがひとつの見どころでしたが
 コンピューターがどれだけ発達しても、最終的には人と人との繋がりが重要である、というのが本シリーズの大きなコンセプトです。コンピューターを使いこなすことで窮地を切り抜けた過去のシリーズとは逆に、「バイファム21」ではアナログ的なコミュニケーションが重要な位置を占めます。例えば、第1話で異星人が侵攻してきた際、ネットワークが寸断されたことにいち早く気付いた避難民がクレアド星からの脱出に成功し、最後までディスプレイに映し出される情報が事実と信じていた政府は崩壊への道を辿ります。コンピューターを扱える能力は否定しないけれども、直接自分の目で耳で情報を受け取ることが何より重要であるということでしょう。これは21人と同年代である現代の子供達へのメッセージでもあります。

−キャラクターデザインの古城氏について
 バイファムのキャラクターデザインといえば芦田さんの印象が強いわけですが、今回新しいシリーズを手掛けるにあたり、敢えてそのイメージを払拭することで新たな世界観を構築する方法を選択しました。リアリティの中に優しさを併せ持つ古城氏のキャラクターは、必ず新たなバイファムワールドを作り上げてくれると確信しています。子供達の髪の色がカチュアら数人を除き全員黒髪という点も、服や髪の色でキャラを描き分ける従来の演出を否定しようという古城氏ならではのアイディアによるものです。

−メカニックについては
 本当はロボットは出さなくてもよかったんですが(笑い)、バイファムという主役メカについては従来のデザインほぼそのままです。ジェイナスについても外見はほぼ同一ですが、いくつか新しい仕掛けが施してあります。その機能は、ストーリーが進むにつれて明らかになってゆくことでしょう。異星人側のロボットについては過去のシリーズから一新し、爬虫類的なラインを前面に押し出すことにより、得体の知れない雰囲気を演出しています。小さいお子さんは怖がるかもしれませんね。

−放映がブロードバンドによる配信であることについて
 かつての銀河漂流バイファムはOAVという新たなジャンルを開拓し、メディアミックスの先駆けと称されました。我々が手掛ける「バイファム21」では新たなメディアであるブロードバンド配信を用い、皆様に映像をお届けしたいと考えています。ダウンロード可能なサービスも用意していますので、ナローバンド接続の方や、購入してじっくり見たいという方にも安心してご覧いただけます。お子さんはもちろん、お父さんやお母さんなど、ご家族一緒に21人の冒険を楽しんで頂きたいですね。

−期待しております。本日はお忙しい中ありがとうございました。

次回はロディ・シャッフル役の南嘉彦氏にお話をうかがいます