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銀河漂流バイファム13
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飛び立て13人!

1998年10月3日放映


主翼を切り落としたシャトルを台車にセットし、カチュアとフレッドを中心にシャトル打ち上げのプログラムを組む子供達。しかしカウントダウン直前になって再びククト軍が出現。慣れない地上戦に窮地に陥るロディとバーツだが、スコット達の助けもあってロディ達はなんとかククト軍から発射台を守り抜くことに成功する。この星に残る事を決心したチェンバー夫妻に見送られてシャトルは無事発進。そして彼らはジェイナスに到着、両親の待つタウト星に向かって旅立っていった。

主翼を切り落としたシャトルを台車にセットし、打ち上げのプログラムを組む子供達。カチュアとフレッドを中心に作業は進められます。一方逃げたククト兵を警戒し見張りに立つチェンバー夫妻。子供達だけでプログラムが組めるか不安がるポールでしたが、ディグレは彼らを信じるよう説得します。
無事プログラミングも完了し、シュミレーションでも出発できる事が確認できました。喜ぶ子供達。しかしその時、前回逃走したククト兵が操る3機のARVジャーゴが姿を現します。発射台を守るために戦闘に突入するロディとバーツでしたが、地上での機動力のなさとビーム砲のエネルギー不足もあって窮地に陥ります。
それを救ったのはスコット達のトレーラーでした。ロープで結んだドラム缶を2台の車に積み、ARVの足を絡めとって動きを止めさせ火をつけるという方法です。彼らの活躍もあってロディ達は残ったARVも撃破し、なんとか発射台とシャトルを守り抜くことに成功します。
バイファムとネオファムも格納庫に帰還しいよいよ出発しようとする子供達でしたが、チェンバー夫妻はこの星に残ると言い出します。生きていく目的を見つけたと話すポール、彼はケンツにジャムを手渡し子供達を見送ります。シャトルは無事打ち上げに成功し、バイファムとネオファムの推進力の助けを借りてシャトルは無事ジェイナスにたどり着きます。ボギーの「みなさんのお帰りをお待ちしていました」という言葉と共に、徐々に明かりが点っていくジェイナス。そして彼らは再びブリッジに立ち、両親の待っている(はずの…)タウト星に向かって旅立っていきました。

■最終回である今回は、一貫して13人相互の信頼関係を軸にストーリーが進行します。仕事を分担しシャトルの打ち上げ準備をてきぱきと進める13人、ロディ達がピンチになっても「お兄ちゃんたちは負けないよ」「いつだって必ず帰ってきたもん」と呟くマルロとルチーナ、そしてロディとバーツを助けるために自分達で工夫した方法でジャーゴに立ち向かうスコット達。子供達を巡るこれらの演出は非常にバイファムらしいものだったと評価すべきでしょう。その一方、目の前で子供達の団結と行動力を見せつけられたチェンバー夫妻が生きる目的を見出し、その胸の内を子供達に語るというシーンがありましたが、ここまでの展開で必ずしもキャラが立っていたわけではないチェンバー夫妻を使ってこのようなシーンを演出するのはあまりにも酷でした。子供達の行動によって大人達が勇気づけられるという展開は第1クールの子供達&ホルテと全く同一だったわけで、どうしても見劣りしてしまうのは仕方のないところでした。
■今回も前の第25話と同じ紫のジャーゴが登場しましたが、移動の際になぜかジャンプせずてくてく歩くシーンがありました。設定や演出がどうとか言うよりも、どこかユーモラスなその姿には思わず笑ってしまいました。またバイファムとネオファムが戦闘中にホバリングでの移動(「ガンダム」でドムがやるやつですね)をする描写があり、そのスピード感にはなかなか迫力がありました(単に絵的にそう見えただけかもしれませんが)。
■最終回である今回も、全篇を通してBGMの使い方はよかったとは言えません。比較的落ち着いた雰囲気に好感が持てたAパートに引き換え、Bパートでは例によって「HELLO,VIFAM」や新挿入歌(注:23話と25話の挿入歌とは別の曲です)が登場、そしてクライマックス以降カットが変わるたびにBGMがころころ変わるとあっては、物語の流れまで分断されてしまったかのような印象があります。マルロとルチーナが呟くシーンのBGMなど、もうひと工夫すれば非常に印象的なものになったと思うのですが…。
■BGM集1に収録された「総員奮戦せよ!バイファム登場!」がようやく本編で使用されました(実際には15話でも使用されていたのですが、この時は耳を塞ぎたくなる選曲でした)。今回はスコット達がドラム缶を搭載したトレーラーでロディ達の救援に向かうシーン(※「13人の子供達が力を合わせて道を開いていく」というのが物語の主題だとすれば、おそらくこのシーンは今回のクライマックスと言えるでしょう)での使用です。ちなみに、結局トレーラーとトラックは出発に当たって旧タウト星に置き去りにされてしまいました…最終的にどうなるのか、けっこう気になってたんですけど。
■『最終回1話前に出てきたアイテムが最終回の別れの小道具として用いられる』というパターンは今回も健在でした。旧作では空薬莢とハーモニカ、今回はジャム。新旧シリーズを通して見るとケンツはこの他にもルービンのネックレスやガイの鞄や何やら、いろいろ貰ってます。このパターンは脚本の星山氏の得意技ですね…他にいい演出がないのは分かるんですけど(苦笑)。
■前から気になっていたククト兵の扱いですが、今回も結局何の配慮も見られませんでした。3機のジャーゴのうち1機はドラム缶の燃料が引火して大爆発、もう1機はコクピットをビーム砲で貫かれ…とあまりにも不憫な結末でした。生身のククト兵が何度か画面に登場していただけに、RV同士の戦いではせめてコクピット以外の部分を撃ち抜いて行動不能にするとか、何かなかったのでしょうか。非常に残念なところです。
■ポールと別れる際のケンツの最後の一言「腹こわすなよ〜!」が光っていました。またその後の「必ず両親に会えよ、子供達」というポールのセリフは第2話でローデン大佐が呟いたセリフと全く同一のものです。子供達を見送るシチュエーションの相似といい、このセリフについては原作/脚本の星山氏によって意図的に用意されたと解釈するのが正しいところでしょう。
■宇宙へ飛び立っていくシャトルを見上げるメリーのカットは名シーンでした。思えばこのようなハッとさせられるシーンが「13」にはあまりにも少なすぎた訳ですが、最終回のこのカットを持ってよしとしたいところです。
■BGM「バイファムのテーマ」が流れる中ジェイナスが去っていくというラストシーンは旧作以来あまりにも見慣れたシーン。今回も例に漏れずこのパターンでしたが、ラストの映像はよりによって14話のフィルムの使い回し。別に雰囲気が合ってないとかいう訳じゃないんですが、最終回なだけにもう少し何とかならなかったのかという気はします。
■最後に一言。「エンドマークも説明もナレーションもなければ、「13」から見始めたファンは何がなんだか分からんぞ…」


…というわけで、「13」の物語は完結しました。最後に、ページ上のリンクから「おまけ」にお進みください。

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