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第32話
「雨あがりの再会」

1984年06月02日放映


ジェイナスを探して旅をする3人。途中立ち寄った博物館らしき建造物には太陽系の模型があり、ロディ達はククトニアンが昔から地球を監視していたことを知る。ケンツが底なし沼に落ちかけるというアクシデントを乗り越えながらジェイナスの残骸の一部を発見するロディ達。しかしそこへ再度ミューラアの部隊が攻撃を仕掛けてくる。トゥランファムを失いながらもなんとか追撃を振り切った3人。そして燃料の尽きる寸前、彼らはついにジェイナスの位置を示した旗を見つけ、ようやく仲間たちとの再会を果たすことができたのであった。

ミューラアの追撃をかわしながらククト星の荒野を旅してきた3人がようやくジェイナスを発見するエピソードです。Aパートではククトの様々な謎を提示して視聴者の関心を引きつけ、Bパートでは一転してRVによるメカ・アクションと感動の再会シーンが描かれます。そして物語の「核」となったのは、第30話に引き続きロディとフレッドの兄弟関係にありました。

3人だけの旅を続けるロディ達。トゥランファムのエンジンの調子が悪く、彼らはそれを直すのに四苦八苦します。この前はなんとか切り抜けはしたものの、いつまたミューラアに遭遇しないとも限りません。とにもかくにも今の彼らにはジェイナスの手掛かりを探すしかないわけです。この時の空模様と同じく、彼らの心は曇りきっていました。
旅の途中でククトの博物館跡地に立ち寄ったロディ達は、その中で太陽系の模型を発見します。ククトニアンが昔から太陽系(=地球)の存在を知っていたことに気付いてハッとするロディ。劇中では語られないものの、ククトニアンと地球人はもともと祖先が繋がっているという裏設定があり、ここではそれが少しだけ明らかになった、という形です。そしてこのことはその後第44話におけるミューラアの「我々ククトニアンは貴様達の母星地球を侵略する気はないのだ」というセリフにつながる、ストーリー上の大きなポイントと言えます。
博物館の外に出た彼らはそこでジェイナスのアンテナを発見します。アンテナを調べようとしたケンツが底なし沼に落ちるというハプニングが発生し、ロディがケンツを救出したその直後にミューラア率いる部隊が彼らを発見します。前の第31話で全くセリフがなかったミューラアですがこの回はきちんとセリフが用意されており、その中ではミューラアが何故ロディ達を追跡しているのか、何を目的としているのかが初めて語られます。雨の森の中、デュラッヘ・ギブルと激しい戦闘に陥るロディ達。彼らはトゥランファムを失いながらもなんとかミューラアの追撃を振り切り、逃げ延びることに成功します。

そして雨上がりの空の中、ジェイナスを探して空を行く3人。まさに燃料がなくなりかけたその時、ケンツがイチゴパンツとレッドベアーの旗が掲げられているのを発見します。それは紛れもなくジェイナスの仲間が揚げたものでした。遂に彼らはジェイナスを見つけたのです。この直後、レーダーに捉えられたバーツのネオファムを一瞬敵と誤認するシーンはロディ達の表情に安堵と緊張感が交錯する名場面です。空を行く彼らの背後にかかる虹。そして声をからして兄の名を叫ぶフレッドは、第30話でのロディとの約束が伏線となった印象的なシーンです。

再び一堂に会した13人。しかし彼らとジェイナスの別れ、そして新たな旅立ちは間近に迫っていました。

■この回は不思議なことに前の第31話のラストシーンとまったく繋がっていません。もちろんシチュエーションそのものは間違っているわけではないのですが、あの強烈なインパクトを与えたラストシーンを踏まえた展開はないの?といぶかってしまいます。勿論多少態度の違いは表現されてはいるのですが(特にロディ)、前の話と温度差がありすぎるため、続けて観ると少々肩透かしを食った気になります。しかしこの回はどちらかというとクライマックスに見られるロディとフレッドの兄弟関係を軸に描いたエピソードであり、もうひとつ前の第30話とダイレクトに繋がっていることを考えると、物語全体を見た時にはごく自然な流れだと言えます。少なくとも脚本の平野氏にとっては、この回は第30話の展開を踏まえた「ロディとフレッドのためのエピソード」だったことは間違いありません。そして彼ら兄弟の物語は、やはり平野氏脚本による第41話へと繋がっていきます。
■この回のサブタイトル「雨上がりの再会」はシリーズを通して見た時非常に秀逸なタイトルです。ようやくジェイナスを発見し、ネオファムと共に上空を飛ぶバイファムとポッド。そんな彼らの後ろにかかる虹。そう、このシーンに虹をかけるために物語の中盤には雨が降っていたのです。そしてこのシーン、ロディ達が旗を発見してからラストまでを結ぶ1曲のBGM「闇からの脱出」はこのシーンにベストマッチした名曲です。この曲はその後第39話と第42話、および「13」でも何度か使用されていますが、ほぼフルコーラスでの使用という点からもこの第32話のクライマックスのための曲として記憶している方が多いのではないでしょうか。余談ながら私は「音楽集2」を購入した際、この曲が収録されていたことが最も大きな喜びだったのを覚えています。
■前の第31話から始まった、ロディ・カチュア・ケンツによる3人旅。この旅がいつまで続くのかは、視聴者はまったく予想できない状況にありました(もちろんこの回のサブタイトルを見れば一目瞭然なのですが、こと劇中においては他のメンバーの動向が一切描かれないため、視聴者は彼らがいつ本隊と合流できるのかは判断のしようがありませんでした)。結果的にロディ、カチュア、ケンツによる3人旅はこの回で終わりを告げるわけですが、もう少し彼らだけの旅を見てみてたかった…という気もしないではありません。そんな「少人数のエピソード」は、第34話でのバーツとマキのエピソードなど、違うキャストによって表現されていくことになります。
■この回のBパートは、ラストの「雨上がりの再会」シーンを除くすべてが戦闘シーンの描写に費やされています。第3クール以降毎回戦闘シーンを描くことが義務付けられたとはいえ、前後の回と比較してもかなりの時間が割かれています。残念ながら作画の程度もあって(失礼)この回の戦闘シーンは迫力のあるものとは言い難いのですが、その中でもミューラアの強さは際立って描写されています。ミューラアとロディがRV戦を行った回数は意外と少なく、第31、32、37〜38、39話に第44話を加えてたった5回しかありません。にもかかわらずミューラアが「圧倒的に強い」という印象があるのはこの第32話の印象が強かったからであり、また次の第33話でロディが「盾」を作ることになったのもこの回の戦闘がきっかけだったのではないかと思われます。それにしても「木の枝に乗ってバイファムが通過するのを待つギブル」というシチュエーションだけは何とかしてもらいたいものです。全高15m前後のARVが乗っかっても何ともない木の枝って一体…。
■「あらロディ、包帯が真っ黒よ」…真っ黒もなにも、黒ベタで塗りつぶされてます。ちょっとやりすぎかも。
■ミューラアが謎の光点を追っていったおかげでロディは窮地を脱します。このシーンに見られるように、ロディとミューラアの戦いにおいては「どれだけワンパターンにならずに、そしていかにして決着を次回以降に持ち越すか?」ということが毎回のお約束パターンとなっていきます。第31話ではビームガンをはじき飛ばされ自ら逃走、この第32話は謎の光点を追ってその場を離脱、第38話は集中砲撃を浴びて追撃不可能となる、とロディとの決着はすべて持ち越される形となります(もっとも彼らの最後の対決となる第44話でも明確な決着はつかないわけですが)。この第32話の展開はそれらの中でも限りなくアバウトなものですが(失礼)、その後のドラマによってこの不自然さは十分なまでにカバーされたと見るべきでしょう。なお余談ながらこの時上空を横切った光点は、探知機が反応したことから推測するにバーツがばら巻いた発信機(ピーピングトムなど)ではないかと思われますが、本篇内ではその正体は明らかになっていません。
■ケンツが博物館で追いかけられるハメになる巨大なミラーボール?は、当時流行していた某洋画のパロディ。いくらでも横に逃げられるはずなのにまっすぐ追いかけられっぱなしのケンツがマヌケなシーンです。それにしても、ケンツが底なし沼に落下する時のセリフは何度聞いても分かりません。「二十年な〜っ!」または「二重メンマ〜っ!」と聞こえるんですけど、ホントはなんて言ってるんでしょうか。謎です。


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