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第26話
「新型R・V出撃!!」

1984年04月21日放映


子供達は補給された新型RVトゥランファムで訓練を重ねていた。ようやくタウト星がレーダーに捉えられた頃、ジェイナスに気付いた敵の監視衛星が攻撃を仕掛けてきた。トゥランファムで初出撃するマキとケンツだったが新たに出現した別の衛星の前に窮地に陥る。しかしジェイナスに積まれた遺跡から放たれたエクストラ力線によって衛星同士が謎の衝突を起こし、彼らは何とか難を逃れる事ができた。

放映時間帯変更後の実質的な第1話です。サブタイトルもぐっと短くなり、これまでと比較してメカアクションも増加することになります。またシリーズ後半に向けてのネタ振りが本格的にスタートする一方、次の第27話からのタウト星篇に向けての伏線がふんだんに盛り込まれることになります。

ローデン大佐から受領した新型RVトゥランファムで訓練に励むロディ、バーツ、マキ、ケンツ。ロディがバーツと一緒にトゥランファムに搭乗するのはシリーズを通じてこの1回きりですが、これはバーツとの会話の中で視聴者にトゥランファムが複座になっている理由を説明したり、自分はやはりバイファムのほうが向いていることを説明するために用意されたシチュエーションだと思われます。一方初めて本格的にRVを任されることになり大喜びのケンツ。彼と組んでトゥランファムに搭乗したマキは彼のはしゃぎようにウンザリの様子です。

その一方、タウト星を目前にした子供達は本格的に救出作戦を練ります(その割に内容が具体性に欠けるのは、次の第27話の展開を考えるとやむを得ないでしょう)。ロディはそんな中、皆が寝静まった夜更けにカチュアが一人でククト語を学んでいる姿を見掛けます。ロディとカチュアの本格的な接点は(第17話は別にして)このシーンが初めてでした。そしてこのシーンでカチュアが反復して発音していたセリフ「チャン カア ソドニ タイアイ」(=パパママに会いたい)は、第28話以降に繋がる物語の重要なポイントとなります。

そんな中、いよいよタウト星が肉眼で捉えられる距離にジェイナスはやって来ました。周囲に監視衛星が設置されていることで緊張が走りますが、調査によって4基の監視衛星のうち1基が故障しているらしいことが判明し、その脇を通過するプランが練られます。
監視衛星から出撃してきたARVドギルムを迎撃するために出撃するマキとケンツのトゥランファム。決して息が合っているとは言い難い2人はたちまち敵に取り囲まれ窮地に陥ります。しかしなぜか攻撃の直前で動きを止めるドギルム。実はその頃ジェイナスに積まれた謎の石板=リフレイドストーンからエクストラ力線が放射されていたのです。次々と異常な動きを起こし自滅していく敵のRVや監視衛星。第1話から登場していながらここまで明確な役割が描かれなかったリフレイドストーンが、ローデンが「ガーディアン」であると言った通りの機能を初めて明確な形で発揮します。

そしてついに目前に迫ってきたタウト星。彼らが両親に再会するのはもうすぐ…と思われていました。この時点では。

■この回からサブタイトルがぐっと簡潔になりました。のちの「13」では長いサブタイトルが復活していることからも、このスタイルが番組延長のための方策のひとつであり、決してスタッフの総意ではなかったことが伺えます。
■この回初出撃したトゥランファムは従来のRVと異なり複座式のコクピットが採用されており、2人の子供達が協力して1機のRVを動かすというスタイルを取ることによってのちに様々な掛け合いやエピソードを生むことになります。この第26話ではマキとケンツのコンビがトゥランファムに搭乗して出撃するのですが、2人がそれぞれ自分の趣味の音楽をかけようとするユニークな描写があり、これは複座コクピットというトゥランファムの特性が生かされたユニークなシーンです。それにしてもこの回を始めとしてトゥランファムを操縦する際にはケンツ→操縦側、マキやカチュア→ガンナーという役割分担が多いのですが、これはどう考えても逆ですよね(余談ながら「13」では一部でその役割分担が実現しました)。
■この回のBパートではマキが持ち込んだテープによるクラシックの流れる中での戦闘という珍妙なシーンが展開されるのですが、ここは少し本篇のシリアスさとはかけ離れた描写で好みの分かれるところかもしれません。ちなみに私自身は別にこの演出は嫌いではないのですが、トゥランファムの手足バタバタはなんとかしてほしいです(いやホントに)。ちなみにマキがトゥランファムのコクピットでかけていた音楽はヨハン・シュトラウス2世作曲 ワルツ「美しく青きドナウ」だそうで、ケンツがかけていた「ジス・イズ・ロック・ミュージック!」の曲は…よく知りません。(多謝>ほうがんさん)
■マキはこの回パジャマ姿で髪の毛をおろした格好でトゥランファムのコクピットに乗り込みます。別にエッチな格好をしてるわけではないんですが(当たり前)、普段こういうシーンが殆どないだけにファンは狂喜しました。ちなみに13人の寝巻き姿についてはわざわざ設定資料が起こされたにもかかわらずこの回のマキ以外ほとんど出番がなく、OVA「消えた12人」と「ケイトの記憶〜」でようやく陽の目を見ることになります(なお「13」でも同じ設定画が流用され画面に登場しています)。
■「タウト星は現在ククト星の裏側に隠れています。もうすぐ周回軌道から現れます」…って、おい、それなら旧タウト星が手前にあるんちゃうんかいっ!と突っ込んではいけません。
■制作サイドがこの回描きたかったのは「視聴者に新型RVトゥランファムの特長を存分に見せる」「今後マキとケンツが新たにパイロットとなることを認知させる」そして「リフレイドストーンが敵の機器を狂わせる機能を持っていることを明示する」という3点だったと推測されます。これらはいずれも第3クールのスタートにあたって新たに定められた(または再確認された)設定であり、次の第27話からのタウト星篇を前に視聴者に早めにこれらの設定を提示しておく狙いがあったものと思われます。
■あくまで結果論に過ぎませんが、この第26話までの「銀河漂流」の旅において、「バイファム」としてもう幾つかエピソードを描く余裕があったのでは、と思えるのもまた事実です。第22〜23、26話は制作側の都合やストーリー展開上ドタバタした内容になってしまったという印象はぬぐえず、これらはのちのOVA「消えた12人」や新作「13」などによって補完されることになります。私達はこれらのエピソードを「あとから補完されたもの」として見てしまいがちですが、実際にこれらの物語が本放送の際に第22〜26話の位置に収まっていたらどうだったか、ということを考えてみるのもまた面白いかもしれません。


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