皆さんは、バイファムのムック本などで設定資料を見ていて、ある種の不自然さを感じたことはないだろうか。
そう、各キャラに一人1枚は必ず存在する、不自然なポーズの設定資料である。
例えばマルロの
とか、ペンチの
である。
もちろん、作画見本である以上、ポーズをなるべく極端にしなくてはいけないのは分かる。
が、バイファムのそれは
飛びぬけて極端であるように思われる。
少なくとも、そのようなポーズは本篇に登場したことは一切なく、設定資料以外ではお目にかかったことがない。
果たしてあの設定画は、何をしているところを描いたものなのだろうか?
また、現実問題として人間があのようなポーズを取ることはあるのだろうか?
というわけで、それらの不自然なポーズを「実践」した上で、果たして何をしているところなのか検証してみようというのが今回の企画である。
バイファム実践委員会、今回のお題は
「設定資料の不自然なポーズを検証する」
である。(そのままやん)
モデルは「デジタルコスプレの部屋」でおなじみ、サラリーマン(71年秋モデル)である。
企画の趣旨上、今回はデジタル加工は一切なしである。
では、早速実践と検証に取り掛かりたい。
まずはフレッドのこのポーズである。
ヘッドスライディングにも見えるが、はっきり言って
何をしているのかまったく分からないポーズである。
これが水中ならクロールに見えないこともないが、きちんと服は着ているし、靴も履いている。
うーむ、謎である。
是非キャラクターデザインの某大先生に、このポーズのシチュエーションをじっくり聞いてみたいものである。
さて、というわけで、実際にサラリーマンにこのポーズを取ってもらった。
…明らかに怪しい。跳ね上げた左脚がそもそも意味不明である。
しかもスーツを着ていると、ある種の怖ささえ感じさせる。
少なくともオフィスにこんな奴ァいない。ていうか、絶対にいてほしくない。
さて、現実にこんなポーズをすることがあるとすれば、
床に落ちそうになった大切なものを落とすまいと飛びついた瞬間、といったところであろう。
そこから考えると、この設定画はおそらくダイビングキャッチの図であると推測される。
必死の形相であることも考慮に入れると、この設定画のシチュエーションは
「腹を空かせて飢死寸前のフレッドが、テーブルの下にシャロンが捨てたニンジンを拾おうとダイビングした瞬間」
といった解釈が妥当かと思われる。
あるいは、
「無職で一文無しのフレッドが、自販機の前で客が落とした100円玉をヘッドスライディングでゲットしようとしている図」
といったところか。
いずれにせよ、結論としては、
この設定画が本篇に活かされることがなくて本当によかった、ということだ。
次にクレアのこのポーズである。
…おいおい。またしても難解なポーズである。
劇中で決して行動的とは言えないクレアが、このようなアクティブなポーズを取ることは
それだけで不自然である。
髪やスカートはたなびき、視線は伸ばした左腕の先を見据えたこのポーズ。
どのようなシチュエーションを想定して描かれたものなのか、謎は深まるばかりである。
キャラクターデザインの某大先生がどのようなシチュエーションを想定されていたのか、私には理解できない。
というわけで、再びサラリーマンにこのポーズを取ってもらった。
…髪をたなびかせようと扇風機で風を送ってみたが、あまり意味はなかったようだ。(当然である)
だが、髪はともかく、設定画に忠実にすればするほど不自然なポーズである。
特に、両足のかかとが地面についておらず、爪先立ちになっているのは体力の消耗が激しい。
どれだけしんどいか、やってみれば分かる。
が、緊迫感のあるシチュエーションであることだけはどうやら間違いないようだ。
また、サラリーマンに置き換えてみたことで、ファイティングポーズとも解釈できることが判明した。
以上の事実と、下を向いた視線という特徴を合わせて総合的に判断するに、
このポーズは
「クレアが幼稚園児に『ヘイ、カモーン』とケンカを売っている図」
であると結論付けたい。
結局本篇では見られなかったこのポーズであるが、もしマルロ&ルチーナあたりが第19話のラストで
さらにもう一騒動起こしていたら、このポーズがそのまま本篇に登場していたかもしれない。
それを考えると、放映時間枠が30分オンリーで、本当によかったと思う。
最後はジミーである。
まず、問題の画像をご覧頂きたい。
…ちょっと待てェ!
ムリやんけ!!
有り得へんちゅーねん!!!
こらァ豊雄ォ!!!!(呼び捨て)
…これまで何度も目にしてきた画像であるが、あらためて見るとやはり
とんでもないポーズであることが分かる。
というか、この時点ですでにポーズですらない。
いやはやどうしたもんだか。
▲買って来た麦わら帽を見つめつつ考え込むサラリーマン
▲とりあえず麦わら帽に入ってみようとするサラリーマン
…いや、待てよ。
設定画では別に、「麦わら帽の中にジミーの全身が収まっている」とは一言も断っていない。
つまり、実際にこのように見えるシチュエーションが作り出せるのなら、何ら問題はないのである。
とはいえ、例えば「ジミーの首から下は地面に埋まっている」などという解釈はさすがにムチャである。体は必ずフレームの中になくてはならない。
何か良いアイデアはないものか。
と、ここでひとつの名案が浮かんだ。
麦わら帽のフォルムが作る死角を利用し、体が隠れるようなポーズを取ってしまえばいいのである。
とりあえずやってみた。
おお、すばらしい!見事に設定資料を再現している。(そうか?)
ちなみに別アングルから見るとこんな感じである。
…まあ、とにもかくにも、設定資料通りのポーズだけは実践できたわけである。
で、このポーズが何かというと、
「強盗に押し入られたジミーが『この帽子と靴は差し上げますから殺さないで下さい』と土下座して懇願している図」
である。衝撃の新事実発覚といったところか。
あと、もっと穏便な解釈をすれば、
「ジミーが愛用の革靴を、身を呈して直射日光から守ろうとしている図」と見えないこともない。
さすがジミー、動物だけでなく、動物の革を使った製品にまで愛情を注ぐのである。
我々も見習わなくてはなるまい。(そうか?)
が、どっちにせよ言えることは一つである。
このようなシーンが本篇に出てこなくて良かった、と…。
設定資料一つに含まれるシチュエーションは、このように深く、重い。
以上が、当委員会の出した結論である。
当委員会では、実践の対象となるテーマを委員の諸君から募集中である。報告は掲示板にて遠慮なく行って頂きたい。
が、報告した以上、貴方がモデルとなる可能性もあるので、くれぐれもそのつもりで。
ではまたの機会に。
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