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かお
バイファム13考察
 
13年ぶりの新作となったシリーズ「銀河漂流バイファム13」。当サイト誕生のきっかけとなったこのシリーズ、その内容には賛否両論ありますが、私達当時のファンが持つ懐かしい気持ちを呼び起こしてくれたのは間違いないところ。ここでは放映に合わせリアルタイムに掲載された各考察と、放映終了後に筆者がまとめた「13」についての総論を掲載しています。
(※総論については拙作の同人誌「バイファム13・アンパーフェクトメモリー」掲載分が初出)

ルルドとミューラアの関係について
バイファム13総論(その4:旧タウト星篇)
バイファム13総論(その3:ボギー不調篇)
バイファム13総論(その2:双子の赤ちゃん&ラピス篇)
バイファム13総論(その1:導入篇)
何故、今「バイファム」なのか?
新キャラクターについて
新監督・川瀬敏文氏について
新ロディ役・保志総一朗氏について
「バイファム13」と再放送・ビデオのリンクを読み解く
新作についての考察  

■ルルドとミューラアの関係について(1999/10/07)

バイファムにはシリーズ後半〜「13」において多くのククトニアン軍人が登場しました。その中で子供達の旅の中で直接的な接点を持ったキャラが2人います。一人は言わずと知れたシド・ミューラア、もうひとりは「13」第1クールにおいてジェイナスを追撃したヴィラ・ルルドです。彼らは二人ともククト軍の特務部隊に属しており、リフレイドストーン奪還の目的を担って子供達を追撃します。地球人とのハーフであることがトラウマになっているミューラア、そして双子がジェイナスにいることを知り苦悩するルルド。彼らは任務との板挟みの中で苦悩し、子供達の旅とまた異なったシリアスなドラマを演出します。
劇中で互いに接点のなかったこの2人ですが、実際にはどういう関係だったのでしょうか。物語の順序からするとルルドが先にジェイナスを追撃し、その後ミューラアがククト星に降下した13人を追ったという流れになります。彼ら以外の部隊が子供達を追撃する描写が皆無である(※第39話のガンテツはたまたま遭遇したという見方が適切)という点、および軍人としての彼らの階級が非常に近い点から見るとミューラアはルルドの後任であったのではないかと思われます(ルルドは階級こそ明らかではありませんが、艦長であることから少佐以上の階級であったと見るのが妥当。ミューラアの階級は言うまでもなく少佐)
彼らが関わり合うシーンは劇中では一切存在しません。しかし「13」第13話、ルルドが作戦を終了して空域を離脱した後、第14話で「ククト軍がこちら(ラピスの母船キエフ号)のほうに向かっている」というセリフがあります。ジェイナスがラピスの母船から離れタウト星に出発したためにこの部隊は画面には登場しませんでしたが、ひょっとするとこの部隊の指揮官は新たに着任したばかりのミューラアだったということも考えられます。その後ミューラアがタウト星にいたことを考えると、この時点で子供達の目的地を知ったミューラアがタウト星(新)に先回りしていた、と解釈してもおかしくはありません。
ミューラアというキャラクターは「13」では一切出番がなく、先のルルドとの関係は語られることはありませんでした。しかし旧作ファンを大いに意識していた「13」において、何らかの形で彼と「13」キャラとの関わりが提示されていればファンの反応もまた違ったものになっていたかもしれません。


■バイファム13総論(その1:導入篇)(1999/06/11)

13年ぶりの新作となるバイファム13、記念すべき第1話『再び13人!』は旧シリーズ1〜21話の総集編でした。新作カットを一部織り交ぜながら旧作のフィルムを再編集した映像は13人の子供達の新しい旅を予感させるものでしたが、全体の3割を占める新作カットはその殆どがロディ以外の子供達がクレアド及びベルウィック星から避難する描写にあてられており、このことから今回の新作がストーリーよりむしろ子供達のキャラクター描写主体になることが暗示されています。
またこの第1話は本編に登場するキャラクターを視聴者に紹介することだけでなく、「13年ぶりの新作に対する旧バイファムファンの不安を解消させる」という大きな目的を担っていたのではないかと思われます。この回披露された旧作と同フォーマットのサブタイトルやアイキャッチ、及びエンディングの映像は旧作との整合性に不安を抱いていた視聴者の懸念を取り除くのにふさわしいものでした。本編のBGMについてもこの第1話ではほとんどが旧作に用いられていたBGMをそのまま転用しており、旧作ファンには非常に懐かしく感じられたものです。
これらの点からも、この第1話では旧作との統一性および相違点をひととおり視聴者に提示することによって、制作上の1話に当たる次の第2話ではそれらの違和感をなるべく感じさせない形でスムーズに物語に導こうという意図があったのではないかと思われます(ちなみにこの第1話のアフレコは次の第2話よりも後に行われています)。事実関西地区での本放映の際は第1話のあと放映が2週間休止になったため、視聴者はこの第1話のビデオを見返しつつ次回の放送を待つ形となりました。もっともこの第1話の時点ですでに主人公ロディのキャラクターの相違やスコットのあまりの壊れっぷり、そしてフレッドの声の違和感などが指摘されていた訳ですが、大枠では「視聴者を新しいフォーマットに慣れさせる」という制作側の意図は十分達成されていたとみるべきでしょう。
ちなみにこの第1話でひとつだけ問題があるとすれば、この回が総集編であるということわりが予告・本編を通じて一切なく、事前情報を持たない視聴者には非常に不親切な作りだったことです。「13」というシリーズが旧作第22〜26話をつなぐ物語であるという説明は結局MBS(毎日放送:大阪)での本放映時には最後までなされず、視聴者が設定を飲み込めないまま唐突に物語が始まってしまったという印象は否めません。特にこの第1話がテレビ放映された直後、「13は旧作のフィルムを切り貼りしただけの作品」という早とちりな評論がネット上のあちこちに見られたのは残念なことでした。

続く第2話『戦場真っ只中!必死の逃避行』は旧作第22話のリメイク版ともいえるエピソードで、ジェイナスが地球軍のローデン艦隊に合流し、補給物資とRVトゥランファムを受け取る様子が描かれます。旧第22話でのスコットの変装やローデン達を説得するエピソードについては今回はオミットされ、代わってBパートでは第1クールのキーとなるルルド艦(この時点ではまだ正体は明らかになっていません)がジェイナスを急襲し、ローデン艦から脱出したロディとケンツが新型RVトゥランファムでこれを迎撃する様子が描かれます。ここで描かれた重厚な戦闘シーンの作画と手に汗握る展開は、バイファム13という新シリーズにふさわしい珠玉の出来だったと言えるでしょう。戦闘勃発からローデン艦撃沈、そして新設定のARVブラグの前にトゥランファムがピンチに陥るシーンまでをつなぐ旧作BGMのメドレー、そしてバーツのネオファムとパペットファイターの援護のもとトゥランファムがブラグを撃退するクライマックスシーンの新BGMの使い分けなどは、この回の演出が練りに練られたものであったことが窺えます。とはいえ、この後最終回に至るまでこの回の迫力を上回る戦闘シーンが見られなかったことはメカファンにとっては残念な限りですが…。

…とにもかくにもジェイナスは地球軍から補給物資を受領し、そして視聴者も新たな「バイファム」の世界に足を踏み入れました。続く第3話からはいよいよ「13」完全オリジナルのエピソードである「双子の赤ちゃん&ラピス篇」がスタートします

(※1999/01/10発表の同人誌版を再録にあたり改稿)

■バイファム13総論(その2:双子の赤ちゃん&ラピス篇)(1999/06/11)

「13」第1クールは、子供達が偶然救助したククトニアンの双子の赤ちゃんを巡って繰り広げられる騒動、そして彼らを保護するためにジェイナスにやって来た難民保護組織ラピスのホルテとルービンを軸に物語が進行します。リフレイドストーンを奪還する目的でジェイナスを追撃するククト軍特殊部隊のルルド(実は双子の実の父親)がこれに加わり、3者の思惑が様々に重なり合った形で物語は進行します。
13人が育児に奮戦するというエピソードが、バイファム旧シリーズの未公開エピソードであることは有名です。この一連のエピソードの中で意外な一面を見せるのがシャロンで、彼女は赤ちゃんの実質的な母親役として精一杯の愛情を見せます。最後まで赤ちゃんをククト側に引き渡すことに反対する彼女ですが、13人の中で唯一のククトニアンであるカチュアの説得により、クライマックスの第13話『絶体絶命!さらば愛しきJr.たち』ではルルドに直接赤ちゃんを手渡すため絶体絶命の中船外に出るという行動に出ます。彼女の懸命の姿にうたれたルルドは作戦を中止して空域を離脱、ジェイナスは危機を脱します。

…バイファムという物語には、もともと13人の登場人物がすでに存在しています。この第1クールではこれに加えてさらに4人もの新キャラクターがジェイナスに乗り込むことになります。旧作においてはシリーズ中何話に一回かの割合で特定のキャラ中心の話を挿入することにより、物語はぎりぎりのバランスを保ってきました。旧作が視聴者に圧倒的に支持され、かつ各キャラにファンが付いた要因はまさにそのバランスの良さそのものにあったと言えるかもしれません。
しかし第7話『乗せる、乗せない!13人の大決断』でホルテとルービンがジェイナスに本格的に合流し登場人物が17人(+1匹)となって以来、回によって物語の視点が異なるという、ドラマとして見た際極めて不安定な展開が連続することになります。第10話『ジェイナスが凍る!幼い命を救え!』ではホルテとルービンが子供達をさしおいて赤ちゃんを守るというバイファム世界の禁じ手であるストーリー展開がなされる一方、第1クールのクライマックスである第11〜13話では一転して子供達の視点を中心としたストーリー展開に戻ってしまうなど、制作側も明らかに書き分けに苦労しているのが分かります(双子の赤ちゃん自身については年齢的にもまだ独立した人格を持っていないこともあり、従来のバイファムの視点を変えることなく描写することが可能でした)。
この第1クールはホルテ達がジェイナスに乗り込んだことによって個々のキャラクターの印象が弱くなってしまった上、同じククトニアンであるはずのカチュアとホルテに何の接点も生まれないなど、視聴者が当然予想しうる展開が見られないギクシャクしたストーリー運びになってしまった印象は否めません。さらに「異星人=未知なる存在」という旧シリーズの大原則が崩れてしまった点や、第6〜11話を中心に単なる構成上の時間稼ぎと見られかねない一進一退のストーリー展開が見られたことも非常に残念です(もっとも単純に比較した場合、第2クールの旧タウト篇のほうがこれらの問題ははるかに深刻なのですが…)。

「きっとホルテ達が最終的に赤ちゃんを引き取るはず」という視聴者の予想とは異なり、双子の赤ちゃんは実質的な母親役となったシャロンの決断により、父親ルルドに直接手渡されました。そして一旦はラピスの母船であるキエフ号に乗船した13人もまた自らの決断でホルテ達のもとを離れ、タウト星へ向かう道を選択します。13人を保護するためにジェイナスにやって来たホルテは彼ら子供達の前にまったく無力であり、結局最後の最後まで圧倒され続ける結果となりました。ホルテにしろルルドにしろ、この第1クールで描かれた大人達は旧シリーズでの「立派な大人達」とは180度異なる、悩み、苦しみ、13人の行動によって自らの決断に大きく影響を受ける大人達の姿でした。

では、ホルテ達を劇中に登場させた制作者の意図とは何だったのでしょうか。おそらく彼女達は、現在20〜30歳に成長している旧バイファム視聴者の分身であり、これらファンの視点を劇中に持ち込む役割を担わされていたのではないかと思われます。「13人=バイファムの物語」「ホルテ=視聴者」という形に置き換えてみると、「13人の行動に勇気づけられるホルテ」という第1クールの物語構造が「バイファムを観て子供達の行動に勇気づけられる視聴者」という図式となり、一見双子の赤ちゃん中心に見えるこの第1クールの物語が実はホルテの成長を描いた物語であったことが分かります。第10話では落ち込んでいる時にジミーにミルクを渡されての「7歳のこの子でも自分の責任を果たそうとしている…私は悩んでいる場合じゃないのよ」という呟き、そして第14話ラストでのモノローグと「頑張るのよ、みんな。私もみんなに負けないくらい強くなるわ」というセリフ、そして20代半ばという年齢設定などからも制作側にその意図があったことはおそらく間違いのないところです。

一方そのホルテとは異なり、終始己に忠実な行動をしたのが彼女の部下であるルービンでした。彼女は常に自分にできる精一杯の行動を見せ、最初は自らに銃口まで向けたケンツやバーツらの信頼を勝ち取ります(劇中ではケンツの態度の変化が主に描かれていましたが、ルービンに対するバーツの言葉遣いが徐々に変化していく描写も見逃せないところです)。
そしてこの第1クールの最終話である第14話『ぼくらの選択 タウト星をめざせ!』で、彼女は子供達の嘘をいち早く見抜きながらも彼らの意志を尊重し、自分に想いを寄せていたケンツに別れを告げて(正確には告げなかったのですが)ジェイナスから去っていきます。彼女が最後に語った「あの子達は、私達よりもずっとたくましい」というセリフは、彼ら子供達を一人前であると認め、いち早く対等な付き合いをしてきた彼女だからこそ口にできた言葉なのではないでしょうか。

13人の子供達ではなくホルテを軸としたこの第1クールの物語構造については、おそらく賛否両論あることでしょう。しかしこれら一連のエピソード自体は13年ぶりの新作にふさわしい斬新なものであり、これまでのバイファム世界に見られなかったタイプのキャラクターとの交流を描くことによって新たなバイファムワールドを描き出すことに成功していたのではないかと思います。
ただ、バイファムというシリーズ全体からこの「13」を見る時、どちらかというと双子の赤ちゃんの物語を全26話の柱のエピソードに据え、その上でホルテ達をゲストという立場で登場させるという図式のほうが旧シリーズの中間に位置するエピソードとしてはより自然な流れだったのかもしれません。子供達が自らの決断でホルテ達の元を離れてタウト星に出発する第14話『ぼくらの選択 タウト星をめざせ!』。子供達の新たな出発を描いたこの回が、旧シリーズのサイドストーリーとして描かれてきた『バイファム13』の真の最終回となるべきだったのではないか、個人的にはそう思えてなりません。

(※1999/01/10発表の同人誌版を再録にあたり改稿)

■バイファム13総論(その3:ボギー不調篇)(1999/06/11)

第15〜18話は、ジェイナスのメインコンピューターであるボギーの不調をストーリーの軸に据えた1話完結の短編が4本連続して登場します。メインライターである4人の脚本家(伊東、外池、星山、平野の各氏)が1話ずつ脚本を執筆していることからも、これらの話に「短編競作」的な意味合いがあったことは間違いないでしょう。

第15話『危機一髪の大バトル!男性7人vs.女性7人!?』では、新旧バイファムを通して唯一とも言える、子供達が2派に分かれての大喧嘩が描かれます。「長旅でストレスの溜まった子供達がささいなことで口論→大喧嘩」という筋書きなのですが、いまいち状況説明が不足していたせいか視聴者にとっては喧嘩が始まるまでの展開が少々強引だった印象は否めません。しかしスコットの発案で行われた「障害物競走」「キャベツ切り競争」というユニークなエピソードとこれまた意外な優勝者、そしてクライマックスの消火器の掛け合いはおそらく旧作21話のエロ本話と並び賞されるエピソードに仕上がったのではないかと思います。全篇を通してのスコットのあまりの壊れっぷりには賛否両論あるとは思いますが、第1クールで活躍しきれなかった子供達のキャラクターが存分に描かれたという意味でこの第15話はファンの期待に応える珠玉のエピソードでした。この手の話がシリーズの中で1回しか使えないエピソードであることを念頭に置いた上での確信犯的な短編であり、それこそが13人の本来のキャラをここまで生かしたエピソードを作り得たひとつの要因なのではないでしょうか。
続く第16話『ジェイナス大洪水!?お、溺れちゃうよー!』では、宇宙船であるジェイナス号の艦内でのまさかの洪水騒動が描かれます。この回のストーリー展開がラストの即席プールのシーンを見せたいがために逆算して組み立てられたものであることは間違いありませんが、冒頭とクライマックスで意外な行動に出るジミー、運動不足を気にしてコミカルな動きを見せるスコット(どうも「13」でのスコットはこういう役回りとなってしまっているようです)、そしてケンツとシャロンの絶妙のキャスティングにより、全篇にわたりハラハラドキドキの一篇に仕上がっています。戦闘シーンがないにもかかわらずRVがしっかり活用されている点もマルで、なにより13人の水着姿が見られただけでファンは満足だったに違いありません。
短編3本目となる第17話『でた?でた!でた!!真夜中のゆうれい騒動』は、もはやお約束とも言える「お化け騒動」です。旧OVA「消えた12人」と非常に類似したシチュエーションですが、ここではフレッドを物語の中心に据え、彼がペンチを守るために立ち上がるという図式で物語が進行します。一部に強引な展開はあるものの、弟を思いやるロディをもう一方の物語の軸に立てた上できちんとオチを付けている点などはさすがの出来です。とはいえ視聴者の感想は、あまりにキャラクターが壊れ切ったペンチに対するシャロンの「すげえ女…」という一言に集約されるのではないでしょうか。
そして短編集のラストを飾るのが第18話『ボギー制御不能!浮遊機雷の恐怖』です。ボギーの不調によってトラブルが多発するジェイナス、そして彼女?を懸命に直そうとするカチュアの活躍がメインとなります。マルロとルチーナが冒頭で遊んでいた「ダルマさんが転んだ」が終盤の浮遊機雷除去の展開につながっていくというユニークな仕掛けは、脚本の平野氏の面目躍如といったところでしょうか。ロディとフレッドの掛け合いの中には旧シリーズ3話を思わせる会話もあり、細部まで気配りのいきとどいた好篇です。

…これらの短編が続いたことで、視聴者の誰もが第19話以降の大きなドラマの存在を予感していたはずです。しかし残念なことにこれ以降の物語はファンが期待していたものではなく、そればかりかバイファムというシリーズにおける最大の「汚点」となってしまいます。

(※1999/01/10発表の同人誌版を再録にあたり改稿)

■バイファム13総論(その4:旧タウト星篇)(1999/06/11)

バイファム13のラストエピソードであるこの「旧タウト篇」については、正面切って論じることが非常に困難です。今回の「13」におけるここまでのエピソードにはまがりなりにも作り手の何らかの主張が込められており(それが物語の演出上成功しているかどうかはさておき)、作品を毎回自分なりに解釈しつつ楽しんで鑑賞することが可能でした。しかしこの「旧タウト篇」については制作側のメッセージがまるで感じられず、物語としてのクライマックスを欠いたまま結末を迎えてしまうことになりました。シリーズを何が何でも2クールに仕立て上げるというスポンサーの要望があったのか、あるいは旧シリーズでサライダ博士を演じた声優の緒方賢一氏に登場願うことが目的だったのか、この第2クールを手掛けるに至った制作サイドの真の意図は定かではありません。しかし残念ながらこの第2クールの出来がひとつの作品としての「13」の評価を大きく落としてしまったことは認めざるを得ないところでしょう。

第19話『両親に会えるの!?飛んで火に入る13人』では、両親が囚われているタウト星に向かって旅を続けてきたジェイナスの前になんと2つのタウト星が登場します。タウトはククト語で「月」の意味。ククト星には岩石で覆われた本来のタウト星だけではなく、もうひとつ地球型の緑の星である「旧タウト星」があったのです(この時点で既に設定が破綻していることは言うまでもありません)。地球型の星に両親がいると思い込んだ子供達は宇宙ステーションで出会った謎の老夫婦(チェンバー夫妻)に促されるままシャトルで地上に降下します。しかしそこには当然のように両親はおらず、第21話から最終回までは子供達があの手この手で旧タウト星を脱出しようと奮闘する様子が描かれます。

この「旧タウト篇」の問題点は大きく分けて2つあります。ひとつはストーリーの運び方があまりにもいびつであり、バイファムをよく知る視聴者を完全にシラけさせてしまった点です。旧タウト星に降下した子供達はまず第21話『再会への秒読み!収容所へいそげ!』で目的の収容所がないことを知り、次の第22話『とざされた道 ジェイナスに帰還せよ!』ではシャトルで脱出しようとして失敗、第23話『脱出不能!逃亡者を探せ!』では自分達を騙したチェンバー夫妻を問い詰めて真実を知る、とご都合主義の典型ともいえる一進一退の展開が描かれます。その極めつけとなったエピソードが第24話『残された道  輸送機を奪い取れ!』で、まるごと1話を費やしてようやくククト軍の輸送艇を奪うことに成功しながらも、ラストシーンでケンツが試験運転中の輸送機を墜落させ、すべてが水の泡となってしまいます。構成上の時間稼ぎとしか言いようのない無意味な展開に、テレビの前の視聴者はあっけにとられました(事実関西地区ではこの回以降視聴率がガタガタと落ちていきます)。 もちろんこれらのドラマの中にはポールの妻ディグレーとルチーナの心の交流、徐々に心を通わせていくケンツとポール、そして第25話でのジミーとメリーの別れといった見どころはきちんと存在していたのですが、物語としての繋がりに欠けていたことによってこれらのシーンは殆ど注目されることなく終わってしまいました。

そしてこの旧タウト篇のもう一つの問題点は、本来の子供達のキャラクターやバイファム世界の設定を根本的に破壊してしまった点です。旧タウト星という得体の知れない設定に始まり、本来の子供達の性格までも物語が進むにつれてどんどん捻じ曲がっていきます。第23話、ククト軍の攻撃の中危機に陥ったチェンバー夫妻(ポールとディグレー)を助けようとするマキのセリフがこの第2クールの異常性を象徴しています。彼女が砲火の中夫妻を助けに走る際口にした台詞は「死なれたらアウトだよ!」。なんと「彼らが死ぬとこの星を脱出する手段がなくなるから」というのが夫妻を助ける第一の理由として描かれているのです。あの優しく、異星人であるククトニアンとも助け合いながら旅をしてきた彼ら13人はどこへ行ってしまったのでしょう。これでは第20話以降描かれてきたルチーナとディグレーの心の交流は一体何だったのか、と言いたくなります。この他にも第24〜最終話では輸送艇(+ARVジャーゴ)の乗員であるククト軍兵士がこの星を脱出するという子供たちの目的のために次々と倒されていくなど、この旧タウト篇での子供たちは何の思いやりもない冷徹な行動を繰り返すのでした。

結局13人は最終回である第26話『飛び立て13人!』でようやく旧タウト星を脱出、ジェイナスにたどり着きます。本当のタウト星に向かって旅立っていくジェイナスの後ろ姿がこの「13」のラストシーンとなりますが、「13」を独立した物語と捉えていた視聴者、旧作の一部分として捉えていた視聴者のいずれもが「この第2クールの物語は一体何だったんだ?」という感想を抱いたのではないでしょうか。

(※1999/01/10発表の同人誌版を再録にあたり改稿)

■何故、今「バイファム」なのか?(1998/05/16)

97年末にバイファム新シリーズ制作が発表された時、おそらくファンは狂喜する一方で「何故今バイファムなのか?」と首をひねったのではないでしょうか。ここにきてようやく新シリーズ制作に至る背景が見え始めたので、少しまとめてみたいと思います。

過去の様々なスタッフインタビューで「新作をやるなら後日談よりサイドストーリー」「本篇で赤ちゃんを出したかった」という趣旨の発言が何度かあったのはファンのよく知るところですが、実際に今回の新シリーズ制作にあたって直接のきっかけとなったのは、94〜95年にかけて発売された旧シリーズのレーザーディスクの売れ行きが非常に好調だったことにあるようです。このLD-BOX、上下巻合わせてなんと計1万セットを売り切ったことが今夏の「13」LD発売告知チラシで書かれています(そもそもLDというのがどのくらい利益を取れる商品なのか筆者は知りませんが、単純に定価ベースでいうと約8億円もの売上ということになりますね)。
ちなみにもう一つきっかけとしてそのチラシで挙げられているのは、サンライズがニフティサーブ上で試しに開設した「バイファム会議室」が旧作ファン中心に大きな盛り上がりを見せたという事実です。ちなみにこの会議室、新作がスタートした現在では「13」専用の会議室も運営されています。

つまり今回の新シリーズは旧作当時のファンをターゲットとして、LDを始めとしたソフトの販売を軸に据えた企画であることがここから読み取れます。それを裏付けるのがアニメ誌に掲載された毎日放送のプロデューサー・丸谷嘉彦氏のインタビューです。丸谷氏はその中で「良質なアニメは長期的なソフトになり得るので頑張っていきたいですね」と語っておられます。おおよそ若年層を対象にしているとは考えられない深夜枠での放送、そして異例の本放送中のLD発売開始という点からも、現在大人になった旧ファンを対象とした戦略であることは間違いないようです。実際には新作を見越した旧シリーズの再放送やビデオのリリースなどにより、新規ファン層の開拓も狙っていたのも確かですが…。
ちなみに「13」のLDは全26話を2話ずつリリースということで、最終巻が発売となるのは99年の6月と丸1年かかってしまう計算になります。ファン(特に関西以外)待ちきれるのか大いに心配ですが、幸いにも関西地区における「13」初回の視聴率は2.1%という、深夜2時という枠としては高い数字でした(ちなみにその前番組のフォーチュン・クエストLは2.0%)。「かつてのファンだけではなく若い層からも自分の住んでいる地域で放映してほしいという声をあげてもらうべく、完成度の高い面白いアニメにしたいと考えています」とは先の丸谷氏の言葉です。LDだけではなく、ファンの声次第では今秋以降の他地域の放映にも大きな期待が持てるのではないでしょうか。


■新キャラクターについて(1998/03/22)

ついにスタートした「バイファム13」。第1回は総集編ということで本編の新作フィルムは全体の約3分の1というところでしたが、新OPとEDにそれぞれ新キャラクターが登場していましたのでそれぞれについて考察してみたいと思います。
まずはククトニアンの双子の赤ちゃん。OPでは終盤のカットに登場するほか、ED映像では一人がスコットに、もう一人がシャロンに抱かれています。この赤ちゃんについては既報通り新作のポイントとなるキャラで、シリーズの比較的早い時期にジェイナスに救助されるという形で本編に登場するようです(詳細はこのページの1/18付の記事 をご覧ください)。ちなみにこのキャラについては制作サイドの方針で各アニメ誌では今のところオフレコとなっているようです。既に1/10発売のアニ○ディアが先走って公表してしまいましたが…。
そしてククトニアン難民救助組織の女性2人組。名前は一方がアン、もう一人は…忘れました(笑)。この2人はOPのみの登場ですが、ククトニアンの成人女性(25歳前後らしい)ということで旧作でいうデュボアに近い雰囲気を持っています。その表情といい服装といい、メインの子供達とは明らかに異なった描かれ方をされるであろうことが予想されます。
最後はOP、ED両方に登場するヤギ、というかヤギに似た動物。いずれの映像でもジミーが連れて歩いているのですが、おそらくククトニアンの赤ちゃんにミルクを与えるためにジェイナスに連れて来られる…という設定なのではと思われます。では、一体どこから?どこかの惑星に降りるのでしょうか?それともククトニアン女性達が連れてくるのでしょうか?それとも意表を突いてリフレイドストーンがパカッと割れて中から出現するとか(それはないか)。いずれにせよ彼?とジミーのやりとりだけで絵になることだけは間違いなさそうです。

それと、今回の第1話が旧作第21話までの総集編だったことからも分かるように新作は旧第22話以降のリメイクとなるようです。バイファムニュース第6回のアフレコ現場紹介にあったロディとスコットの会話「味方というと、補給艦か?」「のようだ!」というやりとりはローデン大佐と合流する第2話のもののようです。果たしてヘルベルト・G・フォンシュタイン大佐(笑)は再度登場するのでしょうか?敢えて旧作と重複する部分がどういう描かれ方をされるのか注目です。


■新監督・川瀬敏文氏について(1998/02/23)

今回の新作の監督は川瀬敏文氏。最近のアニメをあまり知らない筆者には聞き慣れない名前で(失礼)、メインスタッフの殆どが旧作からスライドしている「バイファム13」の中でどんなシリーズを構築してくれるのかその手腕が注目されるところです。というわけで「13」に先駆け、これまでどんな作品を手掛けてきた人なのか観てみようとレンタルビデオ屋に足を運んでみました。

「絶対無敵ライジンオー」
1991年作品、全51話。地球の守護者である「エルドラン」からスーパーロボット「ライジンオー」を託された5年3組の子供達が地球を守るために戦う、という勧善懲悪の合体ロボットアニメです。通称「エルドランシリーズ」の第1作だそうで、同じ川瀬敏文監督によって第2作「元気爆発ガンバルガー」第3作「熱血最強ゴウザウラー」と続けて製作されてます。
…で感想ですが、1話を観た段階で、「あ、なるほど、こういうのが得意だからバイファムに抜擢されたんだな」と妙に納得してしまいました。子供達それぞれのキャラクターもちゃんと描き分けられていますし(なにせ主役に1クラス分の人数がいるんだからバイファムの13人どころではない)、ストーリー自体非常にエンターティメント性に富んだ展開で小学生中心に人気があった、というのもよく分かる気がします。対象年齢が低めなのでメカ考証とかは比較しようがありませんが、キャラを生かした話作りは非常に秀逸なので、安心して観ることができそうです。

「超者ライディーン」
あの「勇者ライディーン」を原作に持つロボットアニメ。制作はサンライズ。最近妙にビデオ屋で見かけるので気になってはいたのですが、この作品の監督がその川瀬敏文氏。というわけで借りて観てみました。1話は上の「ライジンオー」同様、なんだか訳の分からない敵が攻めてくるのと時を同じくして主役キャラが正義の使者から伝説のメカを託されるという定番の展開(笑)。とはいえ内容は小学生対象の「ライジンオー」とはまるで異なり、美少年キャラが出まくるわ、そして彼らは変身?が解けた後は裸になってしまったりと、いわゆる「やおい」向けの作品。系列的には「聖闘士聖矢」とか「鎧伝サムライトルーパー」が近いんでしょうか(詳しくは知らんけど)。どうも終盤にかけては展開もシリアスになって「ゴッド・ライディーン」なんかも出てくるみたいですし、1巻を観ただけでは評価するのが困難です。とりあえず上の「ライジンオー」とかとはまるで系列が違うことだけは確かですね。

結論。キャラ中心のエピソードについては非常に期待できるといえるでしょう。特に現段階での新作情報ではロディ達が赤ちゃんのミルクを探して右往左往したり、おむつの取り替えでクレアやカチュアが奮闘するというストーリーが予定されているらしいので、そういう話の監督としては適役なのではないでしょうか。勿論、旧作のキャラ設定を完全に踏まえているということが絶対条件ですが…。あとは旧作のポイントであった細かいSF描写をどこまでやってくれるかでしょうね。

というわけで今回はこのへんで。
(…しかしこういう文章を書く時に「旧作」という表し方はよくないですね。なんかいい表現ないのかなあ。うーむ…)


■新ロディ役・保志総一朗氏について(1998/02/03)

今回の新作「バイファム13」においては、旧作のレギュラー13人のうち2人について声優が交代しています。降板されたのはマキ役の羽村京子さん、そしてもう一人はロディ役の難波克弘さん。声というのはキャラクターを構成する重要なファクターのひとつであり、私たち視聴者にとって声優の交代は非常に気になるポイントです。というわけで今回は新たにロディ役に抜擢された保志総一朗(ほし・そういちろう)氏について。

保志氏は1972年5月30日生まれ、アーツビジョン所属。アニメの声優としての仕事は実質的に今回が初めて(過去に「エルフを狩るものたち」への出演があるらしいが筆者は未確認)。
…と、保志氏についての基本データを集めていたところ、なんと「バイファムニュース」内で保志氏のインタビューが放送されてしまいました!(しかもアフレコ現場からの映像で、モニタに一瞬新作の映像が!)
アフレコでの台詞は以下の通り(たぶん)。
鳥海氏(スコット)「ロディ、バーツ!」
保志氏(ロディ)「味方というと、補給艦か?」
鳥海氏(スコット)「のようだ!」
というわけでこのシーンを何回も繰り返して聴いてみました。このシーンの保志氏の声についての筆者の率直な感想は「違和感ないぞ」。保志氏は声質が難波氏とはかなり似ているようです。難波氏の少しガラガラした声(うまく表現ができません。失礼)に比べ、同じ低音ながらもよく通る声との印象を受けました。仮に今難波氏がロディを演じても13年前とは声は微妙に変わっているでしょうし、そういう意味では特に問題にすることはないように思います。むしろ同時に画面に映った鳥海氏がすごくオッサンになっていたのが気掛かり(関係ないか)。
保志氏は現在25歳。年齢的には筆者と同じ「バイファム世代」ということもありますし、新作での活躍を大いに期待したいと思います。主役声優の交代ということで本人にかかるプレッシャーは相当のものだと思いますが、旧作のイメージを受け継ぎつつ、氏なりの新しいロディ像を作ってくれるはずです。応援しましょう。


■「バイファム13」と再放送・ビデオのリンクを読み解く(1998/01/23)

今回の新作「バイファム13」は、その企画当初から新たなファンの取り込みを念頭においているようである。昨年10月から全国で一斉にスタートした旧シリーズ再放送(※)は毎週1話ずつ放送していくことにより、放映が3月中旬を予定される旧作の第23話と「バイファム13」第1話とを直結させようという制作サイドの考えが見てとれる(勿論、「13」放送中は旧シリーズの再放送は中断されると思われる)。
ちなみに旧シリーズの再放送が最も遅い時期にスタートした毎日放送(大阪)では、1/17の時点でようやく11話が終了した。3/21の「13」放映開始まであとわずか8週しかなく、しかも2月頭にはオリンピック特番放送による休止もある。残り12話もあるが、そのうちまとめて放送することになるのだろうか。
また、98年1月よりリリースが開始されたビデオ全12巻(販売元・バンダイビジュアル)は毎月3巻ずつ発売することで、「バイファム13」放映開始までに1〜23話がコンプリートできるように計算されている(第23話は3月発売のVOL.7に収録:放映リストを参照)。こちらの4月以降の詳しいリリース予定は不明である。

今回の新作はストーリー展開に制約が多く(下記「新作についての考察」参照)、そのため直接スポンサーの利益になる商品展開は思ったより困難である(特にプラモデル・玩具系)。今回の再放送とビデオのリリースは新旧シリーズを同時にアピールすることにより、「バイファム」というシリーズ全体を通じて新規の商品展開をスムーズにするためのものだと考えられる。

…と難しいことを書きましたが、要するにバンダイさんがプラモデル全ラインナップを効果的に再販するための手段の一つだと筆者は解釈しています。ビデオのリリースも新シリーズとの相乗効果を狙ってのことでしょうし。

注※97年10月から旧シリーズの再放送を開始した放送局は次の通り。
(11月以降は未確認)
TVK(テレビ神奈川)
TVS(テレビ埼玉)
GTV(群馬テレビ)
CTC(千葉テレビ)
MBS(毎日放送:大阪)

■新作についての考察(1998/01/18)

誰もが驚いた(たぶん)「バイファム」新シリーズの発表。徐々にではあるがその詳細が明らかになってきたので、これまでに判明している情報をここで一度整理しておきたい。

新作のタイトルは「銀河漂流バイファム13(サーティーン)」。原案:矢立肇・富野由悠季、シリーズ構成:神田武幸・星山博之、キャラデザイン:芦田豊雄、メカデザイン:大河原邦男など旧シリーズのスタッフが再結集しているのが大きな魅力である。旧シリーズの監督である神田武幸氏が一昨年他界されているため(合掌)、監督には新たに川瀬敏文氏が加わっている。

内容は続編ではなく、旧作の中盤に当たる第23話から第26話の間に挟まるエピソードである。つまりロディ達13人が地球軍から新型RV・トゥランファムを始めとする物資を受領してのち、タウト星に向かうまでの間ということになる(注:第24〜25話は総集編)。従って舞台は地上ではなく宇宙空間ということになる(コロニーや別の惑星にシャトルで降りるケースはあるかもしれないが)。

さてそのストーリーだが、現時点では「宇宙船の残骸の中で発見された赤ちゃんをジェイナスの13人が世話する」というエピソードのみ発表されている。キャラ表はいまのところ公表されていないために赤ちゃんの性別や人数、また地球人なのかククトニアンなのかも不明である。なお、赤ちゃんが出てくるエピソードはシリーズ構成の都合上旧作ではボツになった話であり、13年目にしてようやく陽の目を見ることになる。
気になるのは先日発表された、芦田氏が新たに描き起こした2人のククトニアン女性キャラである。どうやらジェイナスのクルーと行動を共にするらしいのだが、どういったきっかけなのか、また先の赤ちゃんとのからみがあるのかどうかは今のところ不明である。年齢がかなり上(20代半ば)らしいので、旧作のガイ達ククトニアンの少年少女とはかなり異なる立場で描かれることは確かだが…。

また、仮にも新シリーズと銘打っていることから少なくとも1クール以上、長くて2クールの展開があると思われるが、先の赤ちゃんの話だけで1クール引っ張れるとは思えない。かといって直後に旧作のタウト星攻撃の話が控えているためストーリー的にはかなり制約がある。旧作の第26話はロディ達が補給されたばかりのトゥランファムで訓練するところから始まるため、今回の新作において彼らがトゥランファムをバリバリに乗りこなしたり、ましてや新デザインの新型RVが出てくることは普通に考えて有り得ない。勿論13人は一人も欠けることなく無事に戦闘を乗り越えなくてはいけないし、赤ちゃんやククトニアン女性は新作エピソードののち速やかに退場してもらわなくてはならないのである(笑)。
というわけで、今回の新作は前後のストーリーにほとんど影響を与えることのないキャラクター中心のエピソードになると推論される(たぶん)。ファースト・ガンダムでいうとテキサス・コロニー編みたいな雰囲気になるのではないだろうか。

しかしそこは旧作スタッフ中心のシリーズである。おそらく旧作制作時に構想がありながら制作されなかったエピソードや、特定のキャラ中心のエピソードを捲土重来とばかりに投入してくるものと思われる。敢えて旧作と似たような話や、何度もメインで描かれたキャラ(カチュアやケンツなど)の話を再度作ることは考えにくい。
旧作で制作に至らなかったエピソードとして有名なものは2つある。ひとつは前出の赤ちゃんの話、もうひとつはシャロンが初潮を迎えるというエピソードである。旧作では放送時間帯などの絡みで制作されなかった後者のエピソードであるが、当時の構想を基に今回のシリーズに組み込まれる可能性は非常に高いと思う。シャロン中心のエピソードというのは旧作でも存在せず、その点からも有力だと言える。

特定のキャラクターの話ということではマキも有力。あれだけ人気のあるキャラでありながら、マキ中心のエピソードというのは旧作の中ではほとんどない。唯一地上編の第34話、バーツと一緒に行動した廃虚の街でのエピソードがあるくらいで、新作を機会に彼女中心のエピソードが製作される可能性は高い。他に旧作でメインのエピソードがないキャラとしてはマルロらも挙げられるが、ちょっと難しそう(あるとすれば新登場の赤ちゃんとの絡みか)。
今の時点でストーリーを予想するとこんなところだろう(当てものじゃないので、大ハズレしたらごめんね)。

あと気になるのはスポンサーであるバンダイの意向である。新シリーズ限定のRVやその他メカニックを無理に投入することがあれば、作品の世界観が大きく変わってしまう可能性がある。エンターテイメント性を高めるのは大いに構わないが、旧作との整合性だけはきちんと考えてほしいというのが旧作ファン共通の希望であろう。

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